(1)会社支配の重要性

会社の後継者の選出と会社支配権の行方の確定は表裏一体です。

なぜなら、後継者を選出し経営権を委譲したとしても、会社支配権を他の同族者が保有していたら、または株式が分散していたら、後継者は重要な経営の決定権限を確保できず、スムーズに経営を運営することは困難です。

このように、株主の権利調整に翻弄され、本業に力を注げないようでは、事業承継は失敗といわざるを得ません。

(2)会社の機関

会社の機関とは、会社自体の意思決定活動と認められる行為を行う、会社組織上の一定の地位にある者をいいます。

会社の機関を支配することが経営支配権を支配することにつながります。

昨今の商法改正はめまぐるしく、新しく委員会等を設置したり、社外取締役及び社外監査役を導入したりと、コンプライアンスを高めるため、様々な方策がとられています。

しかし、中小企業においては次のような機関体系が基本です。

意思決定機関

株主総会

株主全員によって構成され、会社の基本的事項につき意思決定を行う。

取締役会

株主総会によって選任された取締役全員によって構成され、業務執行に関する会社の意思決定を行う。

業務執行
代表機関

代表取締役

対外的には会社を代表し、対内的には業務を執行する。

監督機関

監査役

取締役の職務執行の監督をする。
(3)会社を動かすためには

取締役・監査役の選任を思い通りにし、通常の会社の経営上の意思決定権を握るためには、議決権の50%超を持つことが必要です。

また、会社経営上重要な事項の決定権を確保するのは、議決権の3分の2以上を持つことが必要です。

長男・二男に全く同数の支配権を保有させたために、兄弟間で争いが起きたケースがあります。

必ず、支配比率には優劣をつけ、後継者が筆頭株主であるように、後述の遺言書等を活用し、慎重に検討を進めていく必要があります。

なお、支配権の移動時期や移動数量などを見誤ると、余計な税務コストが生じてしまうおそれもありますので、物的対策と人的対策を常に同時並行でスケジューリングするべきでしょう。